この世に、何のために生きているのか分からない生き物がいる。
・・・ムカデである・・・。
熊ン蜂は、頭を刺されて大泣きはしたが嫌いではない。
驚かさなかったら刺さないし、見た目もカッコいい。
ムカデはダメだ。あいつ等は何を考えているのか分からない。
容姿も理解できない、なぜ節と足だらけなのだ!!
小学生の頃、朝めしが食べにくそうな兄の顔が半分腫れていた。
・・・なに?・・・と思ったら「ムカデだろう」・・・ぼそっと呟く父ちゃん。
冷やすために、生米を口で砕いて顔に乗っけた母ちゃん。
腫れた顔から、唾と混ざった生米が落ちていく・・・。
当時は兄にイジめらていたが、消沈した横顔をみて「ざまぁみろ」とは思わなかった。
「怖ぇぇぇぇ」
「想像したくねぇ~、おら、寝てる間に噛まれたくねえ~~~」
以来、ヤツがいると30㎝は飛び上がり、ひょーーっと体が捩(よじ)れる。
引っ越した家にも出た。
怖がる娘の前で、威厳を保つために新聞紙を丸めて叩く、
ビビって空振りする、ウニウニと来る、
「くっくるなぁ!」思いっきり叩く、
角にぶつける、イ――っ!
威厳だ!いげん!掃除機持って来い! 声も裏返る。
分かっちゃいるが、相手はヤツなのだ、「風の谷」では羽も生えていた。
スキマに逃げる、このままでは眠れない、
馬鹿力で家具をどかす、居たっ!
掃除機では間に合わない、新聞紙で押さえる、ウニウニと動く、逃がすまいと鷲掴みにする、
手の中でゴソゴソする・・・ぞぞぞっ・・・こっ腰が抜けそう・・・半狂乱で外に出る、
ラッライターはどこぉーッ。
火をつける、新聞紙からいろいろな音がしている・・・
はぁはぁ・・・ばっ、バッカチンがぁ・・・。
そのドタバタ振りを娘が言いふらし、同級生の間では有名になった。
実はキス釣りもできない、餌のゴカイとやらが恐ろしすぎる!
こんな感じ?触れない、誤解?
投稿者:A.T